便秘とは
便秘の明確な定義は実はありませんが、便の回数が少なくなったり、便が硬くなったりすることで、「快便」ではない状態を指します。実は、自称便秘の方の60%の方は毎日便があるとの報告もあります。
排便習慣の感じ方は人それぞれですが、3日に1回の排便までは正常とすることが多いです。便秘を訴える方は女性に多いといわれます。腹筋が男性に比べ相対的に弱いこと、腸管の動きを抑制する黄体ホルモン(女性ホルモン)が月経周期に一致して変化することなども原因とされています。
このような症状は
ありませんか?
- 便秘がなかなか治らない
- お腹が張っている
- 便を出した後でもスッキリした感じがしない、便がまだ残っているような気がする
- 小さくて丸い、コロコロした便が出る
強くいきんでも便が少ししか出ない - 便意があまり感じられない
- 便が硬くて出にくい
- 市販の薬を飲んでも治らない
- 便秘薬の効果が実感しにくくなった、飲む量が増えた
- 便秘が解消された時、毎回下痢になっている
- 便秘に悩んだ後、いぼ痔や切れ痔になった
など
便秘の原因
おおきく2つの原因で考える必要があります。
器質性便秘:便秘を起こしうる病気がもとになる便秘
もっとも怖いのは大腸癌による便秘です。これを除外することは非常に重要です。特に徐々に便秘が悪化している、体重が減っている、便が細くなっている、腹部に痛みや違和感を伴う、などの場合には、ぜひご相談ください。
他にも薬剤性による便秘、ホルモンやミネラル代謝による便秘、神経疾患(パーキンソン病など)や便秘型過敏性腸症候群による便秘なども挙げられます。
機能性便秘:病気ではなく腸管の蠕動運動機能の乱れによる便秘
多くの方はこちらに分類されます。その中でも以下3種類で考えます。
1.ストレスで腸管が動きすぎる、若年者に多い痙攣性便秘
特徴:便意が強い、腹痛を伴う、コロコロ便と軟便、便秘と下痢を繰り返す
2.女性や高齢者に多い腸管運動の停止した弛緩性便秘
特徴:便意が弱い、腹痛なし、硬く太い便、持続的に便秘
3.直腸内で便が停滞する直腸性便秘
特徴:便意なし、硬く、一部分割状
口から肛門までは9m、30-120時間の経路といわれます。このうち、腸管運動が抑制されているのが弛緩性便秘で、腸管運動が過剰であるものの有効な蠕動運動が形成されていないものが痙攣性便秘です。通常、直腸まで便が到達し、直腸の内容が150ml以上となり直腸圧が上昇すると便意が起こるとされますが、直腸まで便がおりてきたのに便意を感じないのが直腸性便秘です。
便秘と痔との関係性
痔の発症と「強くいきむ癖」には、密接な関係があります。便秘があると排便する際、強くいきむ癖が身に付きやすくなるため、ますます痔のリスクが高くなります。硬くて太い便を出す際、肛門が切れることで切れ痔になる方もいらっしゃいます。「便秘が治らない→切れ痔になる→さらに便秘が悪化する……」という負のループが繰り返されやすくなります。
切れ痔による排便時の痛みがあると、意識せずとも便意を我慢する癖がつきやすくなります。それによって負のスパイラルに陥った結果、切れ痔が悪化して肛門が狭くなり、ますます便秘を進行させてしまうケースも少なくありません。このように、便秘と痔はお互いを悪化させる原因になります。
受診と治療の流れ
1ご予約・受診
電話またはホームページからご予約ください。事前にご予約いただくと、よりスムーズに診療へご案内できます。
2診察・検査
問診では現在の便の見た目や排便状況、便秘の発症時期、発症するまでの経緯、普段の生活習慣、飲まれている薬の有無、既往歴などについてお伺いします。デリケートな内容ですが、これらはすべて、患者様に合った治療を行うのに必要な情報です。現在、飲まれている薬がありましたら、そのお薬またはお薬手帳を持って受診してください。
便秘以外の症状がある場合や、何らかの疾患が疑われる場合は、血液検査や腹部超音波検査、大腸カメラ検査、CT検査など必要な検査を行います。
3診断・相談
現在の状態や発症原因、便秘の内容などについて確認してから、患者さんに合った治療方針について提案します。ご納得いただいた後は治療方針の詳細について、しっかりと話し合い、決定していきます。
便秘の治療
生活習慣の改善
改善に有効な食物繊維の摂り方などは、便秘の種類によって変わります。水分を摂る量や摂取するタイミングなども、患者様のライフスタイルに合わせて指導します。
運動には、血行を良くし、筋力を高める効果に加え、蠕動運動亢進作用があり、便秘の改善に期待できます。「便意を感じたら放置せずにトイレへ行く」「長くいきまない」なども、便秘改善において欠かせません。
薬物療法
「便を柔らかくする」「便の量を増やす」「腸の機能を改善させる」などの効果が期待できる薬を処方します。一人ひとりに合った薬を処方することで、お悩みの症状の改善に繋げます。効果の現れ方や服用のタイミングなどにも考慮して処方することで、より効率的に、早く改善できるようにします。
最近は新しい作用機序を得られる新薬も登場しています。従来の方法では改善されなかった方でも、今の状態を診ながら処方内容を調整していきます。お悩みの方はぜひ、お気軽にご相談ください。