下痢について
便に約60~70%以上の水分量が含まれている、もしくは1日に200g以上の排便を下痢としますが、臨床的には便の性状変化(水っぽいなど)や1日3回以上の排便を目安に「下痢」とみなされることが多いです。明確な基準はありませんが、2週間以内で収まるものを「急性下痢」と、軟便や水様便が3週間以上出続けているものを「慢性下痢」と考えます。下痢は多くの方が一度はかかるものですが、その原因は一人ひとり異なります。適切な治療を行うには、原因となる疾患をきちんと鑑別することが重要です。治らない下痢にお悩みの方は、ご相談ください。
下痢の原因
急性下痢
95%は細菌・ウイルス感染による胃腸炎や、暴飲暴食によって起こるケースがほとんどです。夏は食中毒による急性下痢が、冬はウイルス性の大腸炎による下痢が多い傾向にあります。中でもウイルス性大腸炎は感染力が強いので、早いうちに受診して治療を始めることが大切です。お子様や高齢の方が急性下痢になると、脱水症状に陥りやすくなるため、水分をきちんと摂らせるようにしましょう。嘔吐などの症状を伴っている場合は、迷わずに受診してください。
慢性下痢
薬剤性の下痢(糖尿病薬のメトグルコ(メトホルミン)、コレステロールの薬のゼチーア(エゼミチブ)など)、食事が原因の下痢(乳糖不耐症など)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)、過敏性腸症候群や大腸がんなどで慢性下痢になることがあります。まれではありますが、ホルモン分泌過剰(甲状腺機能亢進症・膵内分泌腫瘍)などでも慢性下痢は起こりえます。下痢が長期間続く場合は、原因をしっかりと特定する必要があるため、放置せずに早めにご相談ください。
下痢の検査
問診では、どういった便が出ているのか、下痢になったきっかけ、食事、基礎疾患の有無、飲まれている薬など、問診が重要です。腹部診察に加え、必要に応じて下記の検査を組み合わせて原因検索をしていきます。
- 血液検査
- 便培養検査
- 腹部超音波(エコー)検査
- 大腸カメラ検査
- 腹部CT検査
大腸カメラ検査
当院の大腸カメラ検査は、鎮静剤を用いることで、痛みを最小限に抑えて行っています。ウトウトと眠っているような状態で受けられるので、検査に苦手意識を抱いている方にもお勧めできます。
下痢の治療
急性下痢
急性胃腸炎による下痢の場合は、自然に回復されるまでしばらく安静にしていただきます。その際は、整腸剤などの薬を処方しながら、様子を伺うこともあります。安静期間は脱水症状を予防するために、十分な水分を摂っていただきますが、もし脱水症状に陥っている場合は、点滴から水分補給することもあります。
慢性下痢
長期間続く慢性下痢の場合は、きちんと原因検索をするというスタンスで診療にあたります。各種検査結果と症状を突き合わせ、一人ひとりにあった解決策を提供します。また、必要に応じて、専門病院への紹介も行います。