胃痛(心窩部痛)

胃痛(心窩部痛)の原因

一般的に「胃痛(心窩部痛)」とは、みぞおち周辺の痛みのことを指します。
原因は多岐にわたりますが、重篤になりえる病気もかくれていますので、「おかしいな」と思った際には、躊躇せずに胃カメラ検査を受けるようにお勧めします。

胃・十二指腸潰瘍

正常な状態では、胃酸や消化酵素(攻撃因子)から粘膜を保護するために様々な防御因子が働いています。胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、防御因子と攻撃因子のバランスが崩れて攻撃側に傾くことで発生するといわれています。このバランスを崩す2大要因が、ヘリコバクター・ピロリ菌と薬剤(特に非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)です。
胃粘膜上層だけが削れるものを「びらん」と呼びますが、この傷が徐々に深くなることで「潰瘍」に進行します。みぞおちの痛みが典型的ですが、他に背部痛、吐き気、胸やけ、食欲不振などを繰り返し、進行すれば吐血や下血(黒い便)、血圧低下(ショック)につながる注意が必要な病気です。

胃アニサキス症

サバ、イカ、カツオ、サンマなどに寄生する寄生虫である「アニサキス」が胃壁に食い込むことで、急な胃痛・腹痛、吐き気などを引き起こすものです。これらの症状は、胃壁が食われたことによる痛みではなく、食いついた箇所でアレルギー反応が生じて周りの粘膜が腫れることで、痛みが現れるのです。稀にアナフィラキシーショック症状に陥るケースもあります。
新鮮な魚介類を食べた数時間後(一般に2~8時間後)に出現した胃痛の場合はアニサキスが疑われます。内視鏡で除去するのが最も効果的ですので、上記の状況に当てはまる場合は是非相談ください。

※アニサキスはイカ・サバが有名ですが、いかなる海産物も原因となりえます。
※アニサキスは低温を好むため、冷蔵はむしろアニサキスにとって好都合です。また、酒や調味料ではなかなか死にません。

胃食道逆流症(GERD)、逆流性食道炎

強い酸性の胃液(胃酸)が胃の内容物と一緒に食道や口腔内へ逆流した結果、胸やけや呑酸(どんさん:苦味やすっぱみを感じたりすること)などの症状を起こす病態です。食道内に胃酸が長期間停滞することで、食道粘膜に炎症が起こります。胸やけ・呑酸が典型的症状ですが、中には胃痛、胸痛、長く続く咳、のどの違和感、耳の痛みなどを起こす方もいます。
食道と胃のつなぎ目の筋肉(下部食道括約筋)が緩むことが主要な原因の一つで、食道裂肛ヘルニア、食べ過ぎ、高脂肪食、飲酒などの生活習慣、肥満、姿勢の悪さ(前かがみ)などが挙げられます。ほかにも、胃酸が過剰に多く分泌されることや、糖尿病などで食道の蠕動運動が低下することでも発症します。

胃癌

胃癌の多くはピロリ菌感染により引き起こされます。多くの早期の胃癌は無症状ですが、形状により心窩部痛を伴うものもあります。また、進行胃癌は潰瘍形成するように胃の粘膜の奥へ進展するタイプ(潰瘍浸潤型)が多く、むき出しになった部分が胃酸に暴露されることで胃痛が発生します。

機能性ディスペプシア

数カ月以上前から、食後のもたれ感、みぞおちの痛みや灼熱感を訴えるものの、内視鏡検査や血液検査などで、原因となる異常を認めない場合、機能性ディスペプシアと診断します。 脳と消化管には、内分泌(ホルモン)系や自律神経系を介してお互いに影響を与え合うシステムが存在します。機能性ディスペプシアは、これらシステムにストレスなど何らかの影響が加わることで、様々な症状を引き起こしていると考えられています。胃痛があるのに何も異常がないなんてと辛い思いをしている方は、総院長外来にぜひご相談ください。

その胃痛は
機能性ディスペプシアかも

機能性ディスペプシアとは、消化器の粘膜などに異常がみられないのにも関わらず、胃や食道、十二指腸などに症状が現れる状態です。以前は「神経性胃腸炎」と呼ばれていました。しかし近年では、機能異常(胃酸の過剰分泌など)や食道や胃の粘膜の知覚過敏などによって、引き起こされているのではないかと考えられています。その原因としては、ストレスや不安障害が大きいと言われています。
主な症状として、下記などが起こります。

愛幸会グループの綾瀬市の原クリニックでは心療内科的な取り組みで実績を上げています。特に激しい症状がある時こそ、精神的な要素が強いです。

  • 胃痛
  • 胃もたれ
  • 腹部の張り
  • 吐き気

 

胃痛の検査方法

検査では、症状の原因や重い疾患が隠れていないかをチェックします。原因に合った治療を行って根治を目指します。

超音波(エコー)・CT検査

肝臓や膵臓、胆嚢などの状態をチェックするために、超音波をあてていきます。検査当日には、食事を抜いてご来院いただきます。

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血液検査

採取した血液を調べ、炎症がないかを調べます。

胃内視鏡検査(胃カメラ)

食道や胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、疾患の疑いがないかを確かめていきます。異常のある粘膜を見つけた際は、その組織を採取して病理検査を行います。炎症や腫瘍、がんを見つけ出すことも可能です。

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胃痛の治療方法

生活習慣の改善・見直し

原因疾患の治療を行います。食事メニューや食べる時間帯、食事量の改善、休養などに関する指導を行います。

内服薬

お悩みの症状に合わせて、胃の働きをサポートする薬や胃酸の分泌を抑制させる薬などを処方します。

漢方薬

患者様の症状だけでなく、体質や既往歴などにも考慮して処方します。消化器の機能を元に戻すのに有効とされている漢方薬を処方しています。

胃痛でお悩みの方は
ご相談ください

胃痛は、消化器疾患のサインとして起こっている可能性があります。心配されている症状がある際は迷わずに、ご相談ください。胃痛を放置しておくと最悪の場合、胃がんを発症することもあります。
実際に、胃痛や腹痛に悩む患者様の検査を行った結果、胃がんが発見されたケースも少なくありません。お悩みの症状がありましたら、放置せずにご相談ください。